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ナラティヴ・エクスポージャー・セラピー(Narrative Exposure Therapy:NET)による複雑性PTSDの治療 ―日本における効果と適応の検討―
https://konan-u.repo.nii.ac.jp/records/3104
https://konan-u.repo.nii.ac.jp/records/3104459754cb-c49d-4068-b927-cd94b20ad5f2
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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本文要約 (3.3 MB)
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論文内容の要旨及び論文審査の結果の要旨 (344.1 kB)
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English ver. (785.8 kB)
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Abstract (116.1 kB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2018-06-23 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | ナラティヴ・エクスポージャー・セラピー(Narrative Exposure Therapy:NET)による複雑性PTSDの治療 ―日本における効果と適応の検討― | |||||
言語 | ja | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Narrative Exposure Therapy for the treatment of complex PTSD: An examination of the effect and adaptation in Japan | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
キーワード | ||||||
言語 | ja | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | ナラティヴ・エクスポージャー・セラピー | |||||
キーワード | ||||||
言語 | ja | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | PTSD | |||||
キーワード | ||||||
言語 | ja | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | 暴露療法 | |||||
キーワード | ||||||
言語 | ja | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | 自伝的記憶整理 | |||||
キーワード | ||||||
言語 | en | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | Narrative Exposure Therapy | |||||
キーワード | ||||||
言語 | en | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | NET | |||||
キーワード | ||||||
言語 | en | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | PTSD | |||||
キーワード | ||||||
言語 | en | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | exposure therapy | |||||
キーワード | ||||||
言語 | en | |||||
主題Scheme | Other | |||||
主題 | autobiographical memory | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | open access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_abf2 | |||||
著者 |
道免, 逸子
× 道免, 逸子 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 本論文の目的は、ナラティブ・エクスポージャー・セラピー(Narrative Exposure Therapy、以下NET)の、日本の心理臨床現場における適用可能性を検証することである。 精神病院に長年通院・入退院を繰り返し、情緒不安定で自傷・自殺企図の傾向が高く、安定した治療に乗りにくい患者には、原病にPTSD(心的外傷後ストレス障害)が併存することが多い。子ども虐待やDV、いじめ等長期的反復的な被害から生じる複雑性PTSDは、PTSDの中核症状に情動調整の困難を伴い、原病の症状を増幅し治療を困難にしている。 NETは、曝露療法に証言療法を組み合わせたPTSD治療のための認知行動療法である。馴化による恐怖反応の消去と全人生史の構築による自伝的記憶整理は、特に複雑性PTSDに有効とされる。NETは、国際的ガイドラインで複雑性PTSDに対する有効な治療法として推奨されている。日本では2010年に試行的に導入され、次第に実施例が増加しているが、さらに系統的な導入を図るべき段階に至っている。本研究は、今後の普及の準備として、日本の臨床現場におけるNETの有効性を検証しようとするものである。 この目的を達成するために、道免氏は、まず第1章で、PTSDおよび複雑性PTSD、解離、自伝的記憶、複雑性悲嘆という、NETの治療メカニズムに関係する諸概念について、近年の診断基準の改訂状況も含めて概説する。そのうえで、開発者が提示するNETの技法とそこに含まれる治療的要素を記述する。第2章では、まず、NETがPTSDに対して推奨される治療技法として、ISTSSをはじめとする関係機関の近年のガイドラインで紹介されていることが示される。そして、現在までの先行臨床研究を網羅的に調査し、戦争や武力紛争という「組織的暴力」に由来するPTSDへの治療実践とその効果検証研究が行われてきた経過と、近年、通常の医療機関における市民生活由来のPTSD治療に対象を拡大していることを明らかにする。効果検証結果には、PTSDへの効果だけでなく、併存するうつ症状、BPD(境界性人格障害)症状、解離症状などの軽減が報告されていた。 第3章では、実施されたNETによる効果検証の結果が報告される。治療実践を行った臨床機関は、精神病院外来と大学心理相談室であり、対象者は複雑性PTSDと診断された14名(精神病院12、大学相談室2;女性13、男性1;平均38.1歳)である。複雑性PTSDの併存症状として、うつ病、双極性感情障害、BPD、アルコール依存症、摂食障害、複雑性悲嘆、解離性障害、適応障害、線維筋痛症があり、通院歴は0〜23年、入院歴は0〜33回であった。実施者はNET研修を受けた臨床心理士で、面接頻度は週1回〜2回、NET回数は8〜46回、平均27.4回であった。 効果評価のために用いた症状評価尺度は、PTSD症状にIES-RとCAPS、うつ症状にSDS、解離症状にDESを使用し、NET実施前、実施2週間後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に評価した。 症状評価尺度によって実施1年後に評価された治療効果は、以下の通りであった。IES-R のCohen’s d は2.972、CAPSのCohen’s d は2.587であり、PTSD症状が著しく軽減したことを示す結果であった。IES-R得点は、14例中6例において、過去の出来事から影響を受けていないと判定される水準までに低下した。他の例においても1年間を通じて漸減傾向にあった。CAPSは実施の負担から6例のみに実施された結果である。PTSDの3大症状以外の、罪悪感、注意減退、非現実感、離人感においても症状が軽減していた。うつ症状については、NET実施1年後の SDSのCohen’s d は0.953であり、明らかな軽減を示す結果であった。ただし、PTSD症状と異なり、6ヶ月後では軽減が少なく、効果が得られるまでに時間を要した。解離症状では、低得点に偏った偏りの大きな分布であるため、いくつかの指標によって結果が示された。BPD症状の著しい軽減は先行研究と一致するものであった。他の併存症状にも軽減が見られたが、アルコール依存への効果は明らかではなかった。 第4章において道免氏は、第3章で確認された症状評価尺度上の全般的効果を踏まえて、本研究から得られたNET実施上の知見を提示し、考察を加える。 解離症状の軽減が大きかったことは先行研究と一致する。治療前に解離傾向が高かった例では、すべて治療過程で新たな記憶の想起があった。解離傾向が少なく侵入症状の強い例では、NETの進行に従って侵入症状が速やかに軽減し、症状が及ぼす苦痛が軽減することを実感するのに対し、解離傾向の高い例では、解離されていた記憶や感覚が繋がってくる第1段階から、喪失体験への直面から生きづらさを改めて感じる第2段階へ進んだ時点で、安全の確保と共感的・支持的環境とともに感情の重要性に関する心理教育が必要である。特に環境調整が重要と考えられた。それら留意点を有するものの、NETには、記憶整理の効果、人生を理解されることによる愛着外傷への治療効果、言語化能力の向上による対人関係改善などの効果が期待でき、解離症状を併存するPTSDの治療に有望な技法であると考えられた。 BPD患者の60%にはPTSDが併存すると言われるように、BPDの診断名を持つ患者のPTSDに対するNETの有効性を指摘する文献が増加している。本研究は、BPD治療を直接対象としたものではないが、14例中7例に、BPD周辺の症状があった。孤独感や不安定な対人関係を特徴とするそれらの例について、治療中の語りを整理すると、治療中および治療後のフォローアップの中で、交友関係を楽しめる、一人の時間を楽しめる、怒りがコントロールできるなどの症状軽減を示す内容が多く見られた。これらの知見および先行研究の知見を総合し、道免氏は、PTSDを構成する恐怖ネットワークと、過去の体験に由来する怒りのネットワークの相乗効果から症状を理解し、人生史の整理という目標を共有することで、対等な関係の中で治療に取り組む道を開くことができると考察する。 NETが対象とするPTSD症状を有する患者には、死別体験を有するものが含まれる。NET後に悲嘆を扱うグリーフワークを組み合わせる方法を有効とする先行研究も存在する。今回対象とした例の中にも、近親者との死別による重い悲嘆を伴う例があった。この例に対してグリーフワークに取り組むことによって、うつ症状が軽減されたことから、死別を伴う例に対しては、NETだけでなく、グリーフワークを治療計画に組み入れることが有効であると示唆された。 以上のような検討の後、道免氏は、第5章の総合考察によって全体を総合した上、NETには多くの治療的要素が複合的に組み込まれていると指摘しながら、NETで扱えない要素を以後の治療で扱うことの必要性、安全を確保することの重要性、普及のためのスーパーバイザーの育成の必要性を指摘する。最後に、事例数による限界、比較対照群を持たないことの限界、評価尺度の不足という本研究の限界を整理し、さらなる効果検証の必要性を述べて論文を締めくくっている。 |
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言語 | ja | |||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | PTSD is often present along with an underlying illness in individuals who cycle in and out of psychiatric hospitals over a number of years. These individuals are emotionally labile, prone to self-harm and suicide attempts, and seldom receive consistent treatment. Complex PTSD develops as a result of prolonged and repeated trauma, such as child abuse, domestic violence, or bullying. Complex PTSD is a condition in which the symptoms of an underlying illness are amplified or exacerbated, thus hampering treatment, as well as difficulty regulating emotions as a result of the core symptoms of PTSD. Narrative exposure therapy (NET) is a cognitive-behavioral therapy for PTSD that combines exposure therapy and testimony therapy. Elimination of learned fear through habituation and organization of autobiographical memory by reconstructing one's life story is effective at treating complex PTSD. NET is recommended by international guidelines as an effective treatment for complex PTSD, but NET was initiated in Japan by Mori as recently as 2005. This paper has investigated the effect and adaptation of NET in outpatient care at a psychiatric hospital and at a university counseling office. Fourteen participants received NET (13 females and 1 male with a mean age of 38.14 years; 12 were seen at psychiatric hospitals and 2 were seen at a university counseling office). Comorbid symptoms of complex PTSD were depression, bipolar disorder, borderline personality disorder (BPD), alcoholism, eating disorder, complicated grief, dissociative disorder, adjustment disorder, and fibromyalgia. Participants had received care or counseling for 0–23 years, and they had been admitted 0–33 times. NET was conducted by a clinical psychologist who had received NET training. NET was conducted in 1–2 sessions per week for a total of 8–46 sessions of NET (average number of sessions: 27.35). The IES-R and CAPS were used to measure PTSD symptoms, the SDS was used to measure depressive symptoms, and the DES was used to measure dissociative symptoms. Symptoms were measured prior to NET and 2 weeks, 3 months, 6 months, and 1 year after NET. Results indicated that PTSD symptoms significantly decreased; Cohen’s d was 2.587 for the changes in CAPS scores and 2.972 for the changes in IES-R scores 1 year after NET in comparison to scores prior to NET. Depressive symptoms markedly decreased; Cohen’s d was 0.953 for the changes in SDS scores 1 year after NET. Dissociative symptoms significantly decreased; a comparison of scores prior to NET and 1 year afterward resulted in an r of −0.895. Symptoms other than depressive or dissociative symptoms also markedly decreased, but NET had no apparent effect on alcoholism. The considerable decrease in symptoms of BPD shown in the current study supports previous studies. The following results that prove the effectiveness of NET were obtained: 1) NET is effective in treating complex PTSD resulting from prolonged, repeated trauma. 2) NET is considered effective in treating complex PTSD due to organized violence in clinical settings where the risk of trauma remains. NET is also effective in treating complex PTSD due to everyday life in routine clinical settings. 3) Approaches to NET that have proven effective overseas are also effective for Japanese. 4) NET alleviates PTSD symptoms and thus alleviates comorbid symptoms. 5) NET can be a promising treatment method for complex PTSD patients living in Japan. Assembling further clinical experience with NET in Japan is a topic for the future. |
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言語 | en | |||||
学位名 | ||||||
言語 | ja | |||||
学位名 | 博士(文学) | |||||
学位授与機関 | ||||||
学位授与機関識別子Scheme | kakenhi | |||||
学位授与機関識別子 | 34506 | |||||
言語 | ja | |||||
学位授与機関名 | 甲南大学 | |||||
学位授与年度 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 平成29年度(2017年度) | |||||
言語 | ja | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2018-03-31 | |||||
学位授与番号 | ||||||
学位授与番号 | 甲第103号 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf | |||||
著者版フラグ | ||||||
出版タイプ | NA | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_be7fb7dd8ff6fe43 | |||||
注記 | ||||||
言語 | ja | |||||
値 | 原論文は臨床事例を含むため、当該部分を除外した要約を公開。Original paper contains clinical cases, so this data is a summary excluding that part. - 図版の一部が破損していたため、本文要約ファイルを差し替え(2019.2.28) |