@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00000005, author = {石井, 宏和 and Ishii, Hirokazu}, month = {2015-03-10, 2015-03-10}, note = {平成25年度(2013年度), application/pdf, ホヤ卵は典型的なモザイク卵として知られ、受精直後から第一卵割直前までの間に、卵細胞質ドメインが、大きくその局在パターンを変える細胞質再配置が起こる。これは、ひとつの細胞内物質輸送システムであり、種々の母性因子が発生運命地図に対応した卵領域へと輸送される。このホヤ母性因子の細胞内物質輸送システムでは、これまでにない新規で特徴的な輸送メカニズムが働いている可能性があるが、その分子メカニズムはほとんど明らかにされていない。そこで本研究では、ホヤ卵細胞質再配置のメカニズムを解明し、細胞内物質輸送の新たなメカニズムと概念を明らかにすることを目的とした。  まず私は、細胞質再配置メカニズムへの関与が期待されるホヤ母性タンパク質p58の分子的実体がF0F1-ATPaseのαサブユニット(ATPα)と同一あることを明らかにした。一般的に、F0F1-ATPaseはミトコンドリア内膜に局在してATPを産生するタンパク質複合体として知られている。しかし、ホヤ卵ではF0F1-ATPaseのαおよびβサブユニットだけが、ミトコンドリア外のマイオプラズム表層領域に局在し、ミトコンドリア内とは異なる構成の複合体を形成して細胞骨格と結合していた。この新規な複合体をexo-ATPα/βと名付けた。  さらに、ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤として知られるsodium azide (NaN3)が、微小管依存的な第二細胞質再配置を阻害することを明らかにした。別の呼吸鎖阻害剤であるoligomycinには同様の阻害効果が見受けられず、NaN3が呼吸鎖以外の分子を阻害したことがわかった。また、NaN3が卵割期胚におけるspindle midzoneの形成やspindle orientationといったspindle dynamicsに関わる微小管依存的メカニズムも阻害することがわかった。Spindle dynamicsに対する同様な阻害効果は、ウニ胚やヒト培養細胞においても見受けられ、NaN3が異なる動物種間で保存されている分子をターゲットにして、微小管依存的な共通メカニズムを阻害していることが示唆された。  本研究で明らかにしたexo-ATPα/βの存在は、常識的なミトコンドリア内膜のF0F1-ATPaseに対する理解を根底から覆し、細胞生物学をはじめとした様々な分野に多大なインパクトを与えるものである。さらに、今後のexo-ATPα/βの構成分子および機能解析とNaN3のターゲット分子の同定は、細胞内物質輸送の新たなメカニズムを明らかにするだけでなく、細胞分裂におけるspindle dynamicsの解明という新たなテーマにも発展する可能性を持っている。}, school = {甲南大学}, title = {Studies on the intracellular transport system for maternal factors in the ascidian egg}, year = {}, yomi = {イシイ, ヒロカズ} }