@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00004602, author = {小野, 公佳 and ONO, Kimika}, month = {2023-04-12, 2023-04-12}, note = {令和4年度(2022年度), インジェクタブルゲルは、生体適合性でかつ水を溶媒とし、温度やpHなどの外部刺激に応答してゾル-ゲル転移を示すことで、生体内への注射投与を可能とするハイドロゲルである。従来のインジェクタブルゲルでは、移植細胞の低い生着率、低分子化合物(薬剤)の初期バーストなどによる制御不能な放出、変性によるタンパク質の活性低下が生じるという問題点が挙げられる。そのため、インジェクタブルゲル研究をさらに発展させ、医療応用につなげるためには、活性を維持したまま長期的に物質を担持し、ゲル内で機能させることを可能とする高機能なインジェクタブルゲルを設計することが重要な課題である。 そこで、本研究ではインジェクタブルゲルの「ゾル-ゲル転移を示し、様々な物質を担持可能であり、生体適合性を持つ」という特性を維持しつつ、上記の課題を解決可能なインジェクタブルゲルの開発を試みた。具体的には、従来のようにゲルネットワークの網目構造によって構築される内部空間に生理活性物質を担持する手法とは全く異なる、「担持する生理活性物質そのものをゲルの構成成分の一つとして組み込む」という手法を用いる。この手法は、担持物質を組み込むことでゲル内部にて働くという、あたかも生体内に作られた工場のような特性を示すインジェクタブルゲルを創製可能なシステムである。本研究ではこのシステムを“Injectable Gel Factory”と名づけ、このInjectable Gel Factoryシステムを用いて新規インジェクタブルゲルの開発に取り組んだ。本コンセプトである“Injectable Gel Factory”に基づくインジェクタブルゲルを開発するためには、物理化学的性質やスケールが異なる様々な物質とマルチに相互作用して、それら物質を安定にゲル内に担持可能な基盤インジェクタブルゲルを設計する必要がある。そのため、サイズや化学的性質を問わず様々な分子を非特異的に強く吸着することが知られている、クレイナノ粒子LAPONITEに着目した。このLAPONITEを従来のポリマーのみで構成されるインジェクタブルゲルに複合することで、上記の機能が付与された基盤インジェクタブルゲルを設計可能であると考え、本博士論文研究では、このLAPONITEと生体適合性かつ生分解性を示す両親媒性ポリマーであるpoly(lactide-co-glycolide)-b-poly(ethylene glycol)-b-poly(lactide-co-glycolide) (PLGA-PEG-PLGA) をナノレベルで複合したPLGA-PEG-PLGA/LAPONITE複合インジェクタブルゲルを設計した。そして、本研究ではこのゲルを基盤材料として用いた異なる3タイプの新規インジェクタブルゲルの創製及びInjectable Gel Factoryの概念実証に取り組んだ。 第3章ではゲルに複合した酵素β-galの働きによりゲル内でプロドラッグである5-FU-β-galから抗がん剤5-FUを産生することで、長期間持続する抗腫瘍活性を示すEPT用「タンパク質活性保持ゲル」を開発した。また、第4章では、ゲルに組み込んだDFOと血管内皮細胞の働きにより、生体内にてゲル内部にホストと物質・情報の交換が可能な血管網を新生する「生体-ゲル間接続血管新生ゲル」、さらに第5章では、生体内に存在する生理活性物質をゲルの周辺からゲル内へと補給し、複合した細胞へと提供可能な組織再生用「自己補給ゲル」を開発した。 以上のように、本研究にてInjectable Gel Factoryの概念の基づき設計したインジェクタブルゲルは、従来の薬物送達技術や組織工学技術、再生医療技術と比較しても、生体に対する高い効果を示した。したがって、本研究にて開発した三つのインジェクタブルゲルは薬物送達システムや再生医療、組織工学といった分野の発展にも貢献可能なバイオマテリアルとなることが期待される。さらに、基盤材料であるLAPONITE複合ゲルの構成成分であるPLGA-PEG-PLGA及びLAPONITEは、どちらも高い安全性を示すことが知られているため、Injectable Gel Factoryは医療応用可能なシステムとなり得る。}, school = {甲南大学}, title = {Injectable Gel Factoryシステムの創成と医療応用}, year = {}, yomi = {オノ, キミカ} }