@misc{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00003869, author = {大西, 康平 and OHNISHI, Kohei}, month = {2026-04-01, 2021-04-16, 2021-04-16}, note = {令和2年度(2020年度), 生物は常に周囲の温度を受容することで生命の維持や繁殖などに役立てている。生物種によって温度受容の分子機構は異なるが、動物では主に6回膜貫通型の陽イオンチャネルであるTRPチャネルが温度受容体として機能することが知られている。一方で温度受容に関与しないTRPチャネルも多数知られており、その違いについては未解明の点がある。また近年、TRPチャネルに依存しない温度受容や温度情報処理のメカニズムも存在することが徐々に明らかとなってきている。そのような背景のなか、本研究では新規の温度受容体分子の単離を目指し、線虫Caenorhabditis elegansの低温馴化現象を実験系とした解析が行われた。  C. elegansの低温馴化に関わる温度受容ニューロンとしてADLが報告されていたが、ADL内で機能する温度受容体は未同定であった。そこで、低温馴化に関与する温度受容体の探索を行った。これまでにC. elegansにおいて暖かい温度に反応するTRPチャネルは見つかっていなかったため、ADL温度受容ニューロンで発現しているTRPチャネルであるOSM-9とOCR-2に着目した。osm-9とocr-2変異体は低温馴化に異常をもち、それらの変異体の異常はADL特異的に osm-9もしくはocr-2遺伝子を発現させることで部分的に回復した。osm-9とocr-2変異体のADL温度受容ニューロンの温度応答性をカルシウムイメージング法で測定したところ、それぞれADLの温度応答性が低下していた。この温度応答性の低下は、ADL特異的に osm-9もしくはocr-2遺伝子を発現させることで回復した。OSM-9とOCR-2が温度受容に関与するかを調べるために、温度上昇刺激に応答しない味覚ニューロン(ASE)にOSM-9とOCR-2を発現させたところ、味覚ニューロンが温度上昇刺激に応答するようになった。また、アフリカツメガエルの卵母細胞にOSM-9とOCR-2を発現させ、電気生理学的解析をおこなったところ、温度刺激に応じてこれらのチャネルが開口することが示唆された。以上の結果から、TRPチャネルがADLニューロンにおいて温度受容体として機能し、線虫個体の低温馴化を制御していることが示唆された。 一方で、OSM-9とOCR-2チャネルの温度応答性は、一般的な温度応答性TRPチャネルと比べて非常に低かったため、TRP以外の温度受容体の存在を考えた。TRPチャネルはその上流の3量体Gタンパク質を介した情報伝達系によって制御されるケースが知られていたため、3量体Gタンパク質のさらに上流で機能するGタンパク質共役型受容体(GPCR)が温度受容に関わっているという仮説を立てた。その仮説に基づき、線虫ゲノム中の約1000個のGPCRをコードする遺伝子をRNA干渉法で網羅的にノックダウンし、低温耐性への影響を調べたところ、約80個の遺伝子に絞り込まれた。そのうち一つのGPCRはADL温度受容ニューロンで発現し、そのノックアウト変異体を作製したところ、ノックアウト変異体は低温馴化に異常を示した。その異常は変異体のADL特異的に野生型の遺伝子を発現させることで回復した。さらに、このGPCRを温度上昇刺激に応答しない味覚ニューロン(ASE)に発現させたところ、温度上昇刺激に応答するようになった。以上の結果から、GPCRが温度受容に関与していることが示唆された。}, title = {C. elegansの低温馴化を司る温度受容体の同定}, year = {}, yomi = {オオニシ, コウヘイ} }