@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00003564, author = {高垣, 菜式 and Takagaki, Natsune}, month = {2020-05-13, 2020-05-15}, note = {令和元年度(2019年度), application/pdf, 生物は環境の変化に応答することで、多様な環境下において生存・繁栄することができる。環境情報の中でも温度は常に地球上に存在するため、温度に対する応答の分子機構の解明は重要な課題である。本研究では、モデル動物である線虫Caenorhabditis elegans (C. elegans) の低温耐性現象を解析モデルとして、動物の温度応答機構の解析をおこなった。線虫の低温耐性とは、20℃や25℃で飼育した個体は2℃に置かれると死滅するのに対し、15℃で飼育した個体は2℃に置かれても生存できるという現象である。本研究では、次世代DNAシーケンサーなどを用いた遺伝学的解析から、低温耐性を制御する新規遺伝子xdh-1を同定した。この遺伝子は、ヒトのキサンチンデヒドロゲナーゼ (XDH) に高い相同性を示す。XDHはプリン体代謝経路の下流で働き、ヒポキサンチンからキサンチン、キサンチンから尿酸への二段階の水酸化反応を触媒する酵素である。xdh-1遺伝子の発現細胞解析とxdh-1変異体の細胞特異的回復実験から、XDH-1はAINとAVJのわずか2つの介在ニューロンで低温耐性を制御することが示唆された。AINとAVJは介在ニューロンであるため、それらの上流に温度を感知する感覚ニューロンが存在する可能性が考えられた。AINとAVJ介在ニューロンの上流にはASG感覚ニューロンなどのメカノ受容体が発現している感覚ニューロンが複数存在していた。そこでメカノ受容体に焦点を当て、低温耐性解析をおこなった結果、Degenerin/epithelial sodium channel (DEG/ENaC) タイプのメカノ受容体DEG-1の変異体において顕著な低温耐性異常が見られた。deg-1遺伝子はASG感覚ニューロンで発現しているため、Ca2+イメージングによりASG感覚ニューロンの温度に対する生理的応答を測定した。その結果、野生株では、ASG感覚ニューロンは温度に対して細胞内Ca2+濃度を変化させるのに対し、deg-1変異体ではその変化が顕著に低下していた。つまりASG感覚ニューロンの温度応答にDEG-1が関与していることが示唆された。DEG-1が温度受容体として機能するのかを調べるために、温度上昇に反応しないASE味覚ニューロンにDEG-1を強制的に発現させ温度上昇刺激を与えて細胞内Ca2+濃度の変化を測定した。その結果、DEG-1を発現させたASEにおいて温度応答が観察された。さらに直接的にDEG-1の温度受容能を解析するために、アフリカツメガエルの卵母細胞 (Xenopus oocyte) を用いた電気生理解析をおこなった。線虫のDEG-1とそのヒトホモログであるMDEG1をそれぞれ発現させた卵母細胞に温度変化を与えたところ、いずれにおいても温度に対する応答が見られた。つまりDEG-1とMDEG1は機械刺激だけではなく温度も受容していることが示唆された。以上の結果は、ヒトを含む動物においてメカノ受容体DEG/ENaCが温度を受容し、個体の温度耐性を制御していることを示した初めてのケースである。}, school = {甲南大学}, title = {メカノ受容体DEG-1を介した温度受容によるC. elegansの低温耐性の制御}, year = {}, yomi = {タカガキ, ナツネ} }