@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00003563, author = {山﨑, 美咲 and YAMASAKI-OKAHATA, Misaki}, month = {2020-05-13, 2020-05-13}, note = {令和元年度(2019年度), application/pdf, 温度は生物が常に感知する環境情報であり、生物は温度変化に馴化や適応することで生存・繁栄してきた。本研究では、動物の温度馴化の基本原理の理解のために、線虫Caenorhabditis elegansの低温馴化を指標に解析をおこなった。低温馴化に関わる新規分子としてカリウムチャネルKQT-2を同定した。KQT-2は、ヒトにおいて心臓病やてんかん等に関わるKCNQ型カリウムチャネルのホモログであり、そのノックアウト線虫であるkqt-2変異体では野生株よりも低温に早く馴化する異常が見られた。興味深いことに、直径3.5 cmの寒天培地で飼育した場合よりも、直径6 cmの寒天培地で飼育した際にkqt-2変異体の低温馴化異常が強くなった。GFPレポーターを用いた解析から、kqt-2遺伝子は頭部のASKとADL感覚ニューロンと腸で発現しており、kqt-2変異体のADL感覚ニューロンで特異的にkqt-2遺伝子を発現させることによってkqt-2変異体の低温馴化異常が回復した。これまでに、ADLは温度受容ニューロンであることが知られていたため、カルシウムイメージング法を用いてkqt-2変異体のADLの温度応答性を測定したところ、kqt-2変異体では異常が見られた。神経回路上において、ADLは酸素受容ニューロンURXの下流に位置することが報告されている。そこで、低温馴化およびADLの温度応答性における酸素情報の関連性を調べるために、ADLで機能しているカリウムチャネルKQT-2の変異体にURXで機能する酸素受容体GCY-35の機能欠損変異を導入し、gcy-35; kqt-2二重変異体の低温馴化およびADLの温度応答性を測定した。その結果、kqt-2変異体のこれらの異常はgcy-35変異によって抑圧された。つまり、URX酸素受容ニューロンの下流でADL温度受容ニューロンが働き、酸素濃度依存的な温度情報伝達がおこなわれている可能性が考えられた。kqt-2変異体の低温馴化異常に酸素濃度が関わる可能性を考え、kqt-2変異体を飼育する際の酸素濃度を変化させた。その結果、酸素濃度の低下に応じてkqt-2変異体の低温馴化の低下が見られた。さらに、直径6 cmと直径3.5 cmの各々の寒天培地上の酸素濃度を測定したところ、直径6 cmの寒天培地の方が直径3.5 cmの寒天培地よりも約5 %高い酸素濃度を示した。以上の結果から、ADL感覚ニューロンにおいてカリウムチャネルKQT-2は、URX酸素受容ニューロンからの酸素情報依存的に温度情報伝達を調節し、低温馴化を変化させていることが示唆された。この神経回路は、温度と酸素という質的に異なる複数の感覚情報の統合の解析モデルとなりえると考えられる。}, school = {甲南大学}, title = {C. elegansにおける酸素濃度依存的な低温馴化に関わる神経回路}, year = {}, yomi = {ヤマサキ, ミサキ} }