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receptorなどにより認識し、1-2時間以内には炎症性サイトカインを分泌する。またT細胞などからのサイトカインによって活性化されたマクロファージは、12-24時間後に貪食能が向上する。このようなマクロファージの変化はpolarizationと呼ばれ、マクロファージの活性化状態を特徴づける細胞機能である。しかし、このpolarizationは、獲得免疫系の作用下で機能するものであり、自然免疫におけるマクロファージの活性化には異なる仕組みが存在すると考えた。\n serum-MAFは、ヒト血清をβ-ガラクトシターゼとシアリダーゼで処理(MAF化)したものであり、マクロファージの貪食能を1時間以内に向上させることが報告されているが、その仕組みは不明な点が多い。本研究では、serum-MAFによる貪食活性化メカニズムの解析を展開することで、polarization非依存的に起こる自然免疫におけるマクロファージの新しい活性化として、「貪食活性化」を新しく定義し、メカニズムの解明に向けて研究を行った。\n\nserum-MAF処理マクロファージ特異的に形成される新規細胞膜構造\n 本研究では、polarization非依存的に起こるマクロファージの貪食活性化の研究を進めるべく、THP-1から分化してすぐのM0マクロファージをモデルに研究した。はじめに形態的観点からserum-MAFによる貪食活性化要因を探ったところ、serum-MAFでは細胞膜が幾重にも重なり合い、複雑な立体構造を有した細胞膜構造が形成されていた。この特徴的な細胞膜構造は、LPS+IFN-γやγ-globulinといった既知の活性化因子では見られず、過去の報告例もなかったことから、serum-MAF特異的に形成される新規細胞膜構造であった。当研究室ではこの細胞膜構造を「Frill様構造」と命名した。Frill様構造は、より多くの異物を素早く、効率的に貪食するために重要な構造であり、Frill様構造を形成すれば、ビーズを添加してわずか10分後には、他の活性化因子で処理したマクロファージと比較して高い貪食指数を示す。\n\nFrill様構造の形成メカニズムの解析\n Frill様構造の形成は、異物認識非依存的であり、serum-MAFを処理するだけで形成される。また形成されるまでの時間も短く、処理後5分後にはすでにF-actinの再編成が起き、Frill様構造が形成されることが明らかになった。Frill様構造の形成には、serum-MAF添加後5分以内の細胞応答が重要であることが示されたことから、ミリ秒単位で消長する細胞膜内の脂質ラフト形成が重要であると考え脂質ラフト形成を阻害したところ、Frill様構造の形成が阻害され貪食活性化も起こらなかった。serum-MAFで形成される脂質ラフトには、Annexin A2とGalectin-3が逐次的に働く。Annexin A2は処理後30秒で細胞膜に結合し、初期の脂質ラフト形成とGalectin-3の細胞外への分泌に関わる。Galectin-3は、細胞膜上で膜タンパク質を架橋しながら集積させ、Galectin latticeと呼ばれる膜タンパク質のクラスターを形成し、その直下でF-actinの再編成を駆動させる。これら2つのタンパク質を変化させるさらに上流の現象に迫ったところ、serum-MAF添加直後の一過的なCa2+の流入が重要であることを明らかにした。これらの結果から、serum-MAFによる貪食活性化シグナルはCa2+の流入から始まり、Annexin-Galectin-F-actin軸を介してFrill様構造の形成に至ることを明らかにした。\n\nマクロファージにおける膜タンパク質のクラスター化の重要性\n serum-MAFシグナル伝達の解析で得られた新たな知見から、マクロファージの膜タンパク質の重要性を見出した。serum-MAFなどの活性化因子がなくとも、精製Galectin-3の処理やクリックケミストリーを応用した膜タンパク質の架橋によって、Frill様構造の形成とそれによる貪食活性化を誘導することができた。このような結果から、マクロファージの迅速な貪食活性化には、細胞膜上で膜タンパク質のクラスターを形成させることが重要であることを示した。\n 本研究では、serum-MAFによる貪食活性化メカニズムの全容をほぼ解明できたことで、それがこれまでにないマクロファージの貪食活性化であることを示した。そこでこのpolarizationとは異なる迅速で異物非依存的な活性化を「potentiation(細胞機能の増強)」と名付け、そのメカニズムを定義づけたことは、免疫学だけでなく細胞生物学的にもインパクトの高いものと考える。またpotentiationの理解を深めることで、健康や免疫力といった曖昧な言葉を明確に評価し解析できる可能性を示唆した。","subitem_description_language":"ja","subitem_description_type":"Abstract"}]},"item_10006_dissertation_number_12":{"attribute_name":"学位授与番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_dissertationnumber":"甲第133号"}]},"item_10006_identifier_registration":{"attribute_name":"ID登録","attribute_value_mlt":[{"subitem_identifier_reg_text":"10.14990/0002000442","subitem_identifier_reg_type":"JaLC"}]},"item_10006_text_23":{"attribute_name":"注記","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_language":"ja","subitem_text_value":"本稿は、博士論文の内容を要約したものである。その事由は、出版刊行、多重公表を禁止する学術ジャーナルへの掲載、特許の申請等との関係で、インターネットの利用による博士論文の全文の公表により博士の学位を授与された者にとって明らかな不利益が、博士の学位を授与された日から1 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