@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00000018, author = {齋藤, 敏治 and Saito, Toshiharu}, month = {2015-03-10}, note = {平成5年度(1993年度), application/pdf, 宇宙線のエネルギースペクトルは広いエネルギー領域に渡ってベキ乗則に従い、1015~1016eVにkneeと呼ばれるベキの値が変化している領域が存在している。空気シャワー観測では1015.3eVでベキが-2.7から-3.0へ急激に変化している結果が得られているが、どのような原因でベキの変化が生じているかは明らかにされていない。1015~1016eVの領域でベキが変化している原因として種々のモデルが提案されている。1980年代にLinsly達はKnee領域で宇宙線源が変わり、新しい宇宙線源の寄与が始まるためにベキが変化するというモデルを提案した。また、1992年になり活動銀河が放出しているγ線が人口衛星による観測で確認されたが、これに基づきProtheroe達は活動銀河から飛来した宇宙線陽子の寄与がKnee領域に現れるモデルを提案している。他方、新たな宇宙線源を想定しなくても宇宙線の加速機構の変化でKneeの形成を可能にするAxford達のモデルがある。われわれはこれらのモデルについて優劣を調べるためにKnee領域の宇宙線組成に着目した。特に宇宙線陽子成分は100TeV迄のエネルギー・スペクトルが直接観測で得られており、また、現在提案されているKnee形成モデルの優劣を決める上において宇宙線中の陽子成分強度は決定的な情報である。本研究では高エネルギー電磁成分を伴った空気シャワーの観測から一次宇宙線陽子成分の絶対強度を求める新しい解析方法をシミュレーション計算をもとに考案し、乗鞍観測所で行われた観測データに適用した。シミュレーションによると観測される高エネルギー電磁成分を伴った空気シャワーの総粒子数と高エネルギー電磁成分のエネルギー比、Ne/ΣE、と高エネルギー電磁成分の広がりを考慮すると観測例の中から陽子成分が優勢な領域を設定することができ、またシミュレーションで観測される陽子起源の観測例の生成率から一次宇宙線陽子成分の絶対強度を求めることができることが明らかになった。この方法を乗鞍で行なわれた連動実験に適応しE≧3×1015eVで(2.1±1.1)×10-8m-2・sec-1・sr-1の絶対強度を初めて得ることができた。得られた陽子の絶対強度に対するシミュレーションで用いたモデルによる系統誤差は±20%である。Knee領域においては、空気シャワー観測によって求められている全宇宙線強度に対して、陽子成分は15%以下という低い強度をあたえることになり、100TeV領域では陽子成分が宇宙線の主要成分であるのに対し、Knee領域ではもはや陽子は主要成分ではなくなっていることが明らかになった。100TeV以下のエネルギー領域で宇宙線の鉄成分のエネルギー・スペクトルはベキが-2.5と緩やかなスペクトルとなって高エネルギー側へ伸びている。Knee領域では鉄成分がこのまま伸びて陽子のかわりに主要成分となって、ベキの変化を起こしている可能性が強くなった。本研究で得られた陽子成分の絶対強度はKnee領域に活動銀河からの陽子成分の寄与でKneeが形成されるとしたProtheroeのモデルに対し、陽子成分の強度が全宇宙線強度の15%以下であることから成立は困難となった。Knee形成モデルについては銀河系内での宇宙線の加速効率の変化と宇宙線の銀河系からの漏れだしにより生じていると考えることができることを示した。}, school = {甲南大学}, title = {宇宙線陽子のKneeエネルギー領域における到来強度}, year = {}, yomi = {サイトウ, トシハル} }