@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00001772, author = {山﨑, 孝史 and Yamasaki, Takashi}, month = {2016-06-15, 2016-06-15}, note = {平成27年(2015年度), 分子シャペロンClpBは,他の分子シャペロンDnaKとその補助因子と協力して,一度変性・凝集したタンパク質をときほぐし,再生することができる。このうち,凝集体をときほぐす過程を脱凝集と呼ぶ。ClpBは,リング状のホモ6量体を形成して働くが,このリング構造の中央には,ポリペプチド鎖1本分の大きさの孔があり,凝集したタンパク質は,この孔に引き込まれることによって脱凝集されると考えられている。ClpBのサブユニット1つは,AAA+モジュールと呼ばれるATP加水分解ドメインを2つ(AAA-1およびAAA-2)持つ。6量体中では,AAA-1,AAA-2それぞれがリングを形成し,それらが重なっている。ClpBは,6量体に含まれる合計12個のAAA+モジュールで,ATPの結合・加水分解を繰り返し,それによって生じる構造変化で凝集タンパク質の引き込みを行うと考えられる。その際,統合された機能的な構造変化を生み出すために,各AAA+モジュールは相互に連携すると考えられるが,その詳細は明らかでない。本研究は,ClpBのサブユニット間の連携に注目し,その仕組みを明らかにすることで,脱凝集のメカニズムに迫ることを目的としている。 AAA+モジュールを持つタンパク質は他にも多数あり,AAA+タンパク質ファミリーを構成している。またそのメンバーの機能は,分子シャペロンだけでなく,タンパク質分解,DNAの複製,膜融合など多岐にわたる。AAA+タンパク質の多くは,ClpBと同様にリング状の多量体を形成するが,そのサブユニット界面には,1つあるいは2つのアルギニン残基が高度に保存されている。これらのアルギニン残基は,立体構造上,隣接するサブユニットのATP結合ポケットの近くに位置している。他のAAA+タンパク質を用いた先行研究では,これらの残基が,隣のサブユニットでのATP加水分解に関わることが示されている。申請者はまず,ClpBが持つこれらのアルギニン残基をアラニンに置換した変異体を作成し,その役割を検証した。その結果,他のAAA+タンパク質同様,これらの残基は,それぞれのAAA+モジュールへのATPの結合には関与しないが,その加水分解には必須であることが示された。また,これらの残基が脱凝集に重要な役割を果たすことも明らかとなった。 次に申請者は,サブユニット間の協同性を調べるため,ClpBのサブユニット界面にシステイン残基を導入し,ジスルフィド結合によって,隣接するサブユニットを連結させた。連結した2つのサブユニットの左右の位置関係は,導入するシステイン残基の位置によって決まる。そのため,この連結2量体が集まって生じる6量体では,2種類のシステイン変異サブユニットが交互に並ぶことになる。ここにさらに,一方のサブユニットにのみ任意の変異を導入すると,その変異を持つサブユニットが1つおきに並んだ,規則的なヘテロ6量体が形成される。ある過程がサブユニット間で協同的に進行するかは,その過程を阻害した変異サブユニットを野生型6量体に組み込み,6量体全体への影響を見ることで評価することができる。協同性の高い過程ほど,変異サブユニットを組み込んだ際に,6量体全体での阻害の程度が大きくなる。AAA-1, AAA-2それぞれの,ATP結合を阻害する変異,加水分解を阻害する変異,さらに保存アルギニン残基をアラニンに置換した変異を,様々に組み合わせたヘテロ6量体を作製し,それらのATP結合能,ATP加水分解活性,および脱凝集活性を測定した。その結果,ATPの結合はランダムに起こるが,その加水分解は, AAA-1,AAA-2各リング内で協同的に進行することが分かった。また,これら2つのリングは,相互に活性を調節しており,一方のリングに4つ以上のATPが結合することで,もう一方のリングでの協同的なATP加水分解が可能になることが示された。その際,ATP結合の情報は,サブユニット界面の保存アルギニン残基によって検知・伝達される可能性が示された。さらに,少なくとも一方のAAA+リングで協同的なATP加水分解が行われることが,効率的な脱凝集に必須であることも示された。}, school = {甲南大学}, title = {分子シャペロンClpBのサブユニット間の協同性の解析}, year = {}, yomi = {ヤマサキ, タカシ} }