@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00000016, author = {田中, 仁夫 and Tanaka, Kimio}, month = {2015-03-10}, note = {平成11年度(1999年度), application/pdf, ホヤ卵では、細胞分化や形態形成に関わる細胞質因子の存在が明確に示されており、それらの卵内における局在場所も同定されている。近年の分子生物学の発達により、細胞質決定因子には母性mRNAが中心的な役割を果たしていることが明らかにされてきた。しかし、その母性mRNAが決定因子として働くには、その保護、局在化、翻訳調節などを司るRNA結合タンパク質の役割が必要不可欠である。そこで本研究では、カタユウレイボヤ卵より、様々なmRNA結合タンパク質を単離し、その発見解析と機能解析を行い、決定因子となる母性mRNAの解明と、それらが決定因子として働く分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。今回、解析を行ったおもなRNA結合タンパク質は、以下4つである。 (1)CiYB1;コールドショックドメインを持つY-boxタンパク質であり、in vitroでのRNA結合能が示された。CiYB1タンパク質は、受精卵ではマイオプラズムに、卵割期では胚後極のCABに局在していた。CABには、胚の前部の形成に重要な母性Ci-pem mRNAも局在しており、in vitroでのCiYB1タンパク質とCi-pem mRNAの結合も確かめられたことから、CiYB1によるCi-pem mRNAの翻訳抑制と胚の前側形成との関与が強く示唆された。 (2)CiGRP1; glycine-rich RNA-binding proteinと高い相同性があり、そのmRNAとタンパク質は尾芽胚期の脳胞および間充織細胞で強く発現していた。既知の多くのglycine-rich RNA-binding proteinと異なり、CiGRP1は温度ショックによって誘導されないことを示し、神経系と間充織細胞の分化への関与を強く示唆した。RNAの強制発現による機能解析では、不十分ながら細胞分裂、細胞増殖との関連も示唆された。 (3)CiRGG1;3つのRRMと2つのRGG-boxを持つnucleorin様の構造をしたRNA結合タンパク質であった。このmRNAは、2細胞期に一過的に胚の前方へ偏ることがわかり、2細胞期に胚前期側への細胞質の流れが存在することを示した。 (4)CiMsi; Musashiタンパク質のホモログであり、mRNAは、尾芽胚期で神経系細胞と間充織細胞で発現していた。RNAの強制発現による機能解析では、頭部から尾部へかけての形態異常が起こり、尾基部付近の細胞分化に関する機能が示唆された。以上のように、カタユウレイボヤ卵から、様々なタイプのRNA結合タンパク質を単離し、その詳細な発現を解析するとともに、その機能に関する知見を得た。決定因子と直接関わる可能性が明確に示されたものはCiYB1のみであったが、多くのRNA結合タンパク質が卵内にあらかじめ蓄えられていることが明らかになった。今回の結果は、ホヤ卵におけるRNA結合タンパク質と母性mRNAが関与する様々な発生メカニズムを研究する上で重要な知見を与えるものとなった。また、本研究はホヤにおけるRNA結合タンパク質を多角的に解析した初めての研究である。}, school = {甲南大学}, title = {ホヤ初期発生におけるRNA結合タンパク質の役割に関する研究}, year = {}, yomi = {タナカ, キミオ} }