@phdthesis{oai:konan-u.repo.nii.ac.jp:00001566, author = {中﨑, 洋介 and Nakazaki, Yosuke}, month = {2016-01-20, 2015-06-27}, note = {平成26年(2014年度), application/pdf, 分子シャペロンClpBは,一度凝集したタンパク質を可溶化し再生する「脱凝集」という他に類のない活性を持つ。ClpBは,AAA+とよばれるタンパク質ファミリーに属するが,その中には,物質輸送,膜融合,DNA複製,タンパク質分解など様々な細胞機能に関わるタンパク質が含まれている。これらのタンパク質は,AAA+モジュールとよばれる特徴的な構造を持ち,そこでATPを結合・加水分解する。またClpBを含め,その多くはリング状の6量体を形成して機能する。ClpBは,AAA+タンパク質に共通する普遍的な構造を持ちながら,脱凝集という特殊な機能を発揮することから,その分子メカニズムが注目されている。 ClpBによる脱凝集には,別の分子シャペロンであるDnaKとその補助因子の協力が必要であり,脱凝集反応全体は,複数の反応の組み合わせからなると考えられる。その中で,ClpBが凝集体からポリペプチド鎖を引きずり出し,6量体リングの中央の孔を通す「糸通し」が脱凝集の主要な過程であると考えられている。本研究は,ClpBの糸通し過程に注目し,その仕組みを明らかにすることで,脱凝集の分子メカニズムに迫ることを目的としている。 先行研究において作製された,大腸菌由来のClpBの変異タンパク質であるBAPは,ClpBの機能を持ったまま,筒型のプロテアーゼであるClpPに結合できる。BAPが糸通ししたタンパク質は,ClpP内部へと送り込まれて分解されるため,糸通し反応を基質タンパク質の分解として検出することができる。またさらに,基質タンパク質としてモデル変性タンパク質であるカゼインを用いれば,DnaKとその補助因子非存在下でも,糸通し反応を検出することができる。 申請者は,解析の利便性を考慮し,結晶構造解析や様々な変異タンパク質の解析が進んでいる,好熱菌 Thermus thermophilus 由来のClpBをもとにBAP(TBAP)を作製し,精度の高い糸通し測定系を構築した。ClpBのサブユニットは,N末端ドメイン,ミドルドメインと,2つのAAA+モジュール(AAA1,AAA2)の4つのドメインからなる。N末端ドメインは,可動性の高い球状ドメインで,ミドルドメインは,ロイシンジッパー様の構造で安定化された長いコイルドコイル構造からなる。また,2つのAAA+モジュールは,機能上重要ないくつかの保存配列を共通して持つ。その中で,Walker A配列はATPの結合に,Walker B配列は結合したATPの加水分解に,また,アルギニンフィンガーとよばれる保存アルギニン残基はATPの加水分解とサブユニット間の情報伝達に関与する。さらに,立体構造上リング中央の孔の位置には,中央孔残基とよばれる芳香族アミノ酸が保存されている。これらのドメインや保存配列に変異を導入したTBAPを作製し,糸通し活性にどのような影響を与えるかを詳細に調べた。その結果,ミドルドメインは脱凝集反応には必須だが,糸通し過程には必要ないことが示された。またN末端ドメインは,基質の結合に直接関与し,それが動くことが糸通し速度の促進につながっていた。基質の結合には,2つのAAA+モジュールへのATPの結合や,中央孔の芳香族アミノ酸も重要であった。さらに2つのAAA+モジュールのヌクレオチド状態が糸通し速度に影響することや,ATPの加水分解なしでも糸通しが進行することなどを見いだした。}, school = {甲南大学}, title = {分子シャペロンClpBの基質糸通し活性の解析}, year = {}, yomi = {ナカザキ, ヨウスケ} }